ギャンブル依存症とデジタルについて考える

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ギャンブルとデジタル依存症は、プロセスの依存症

昔の知り合いが、収監されていると知りました。

共通の知人を介して会話をした程度で、人物のことを深くは知らないですが、事件でのインタビューに率直に答えるならば、「顔を合わせれば挨拶もしますし、そんなことをするような人にはとても思えませんでした」ですね。

横領したとのことでした。超大金と言える額で、唖然としました。

で、パチンコだよ。と。

 

昨日、米国のドキュメンタリーで、「デジタル・アディクション -スマホを手放せない人々‐」を観ました。(30日間無料のU-NEXTの見放題で観られます。)

自分の子供を放ったらかして、主に出会い系のSNSにハマっている中年女と、甘やかされて育っているハイティーンのゲーム依存症のガキの話でした。

ガキは親が全て用意してくれた裕福な環境で、学校にも行かず、仕事もせずに一日中ゲームをしているのですが、親に対して「おまえらぶっ殺すぞ」と言っていました。

親は泣く。妹は怯える。

最終的には施設に入って、シャブ抜きのようなことをして、戻ってきたところで終わっていますが、表情からして違います。

憑き物が落ちて別人のような感じでしたね。

本人が一番救われたと思いますが、愛されて育っていて運がよかったですよね。これからは、親孝行してもらいたいです。

そういえば、この間日本でも、中学生の娘に母親が刺殺された痛ましい事件がありましたが、この家族でも最悪の行きつくところは、同じ悲劇だったと思います。

SNSに関しての口論が発端でした。

親は、子の幸せを考えて悪から遠ざけようとしたのに、無念でなりません。

インターネットとスマホは世の中に便利をもたらしましたが、それまでになかった悲劇ももたらしています。

 

依存症に脳を乗っ取られてしまうと、最悪は善悪の区別がつかなくなり、依存しているその行為であったり、その快楽であったり、そのスリルであったりが、得るべき、成すべき、最優先になります。

大人でもやっかいなので未熟な未成年だと、こういった取り返しのつかないことを起こすことがあります。

パチンコに行く金を作るのに、母親を刺殺して金を奪った子供の事件もありました。

親と子が逆転するケースもあります。車の中に我が子を置き去りにして、パチンコや異性に夢中になって、熱中症などで間接的に殺してしまう事件がありました。

何かと考えさせられたので、依存症について改めて調べようと思いました。

依存症の定義とは?

厚生労働省のホームページにはこのような説明があります。

Q.依存症ってなに?

A.特定の何かに心を奪われ、「やめたくても、やめられない」状態になることです。

 

人が「依存」する対象は様々ですが、代表的なものに、アルコール・薬物・ギャンブル等があります。
このような特定の物質や行為・過程に対して、やめたくても、やめられないほどほどにできない状態をいわゆる依存症といいます。

  • 医学的定義では、ある特定の物質の使用に関してほどほどにできない状態に陥る状態を依存症と呼びますが、本ページでは行為や過程に関してそのような状態に陥ることも含めて依存症として表現しています。

依存症の診断には専門的な知識が必要ですが、特に大切なのは本人や家族が苦痛を感じていないか、生活に困りごとが生じてないか、という点です。
本人や家族の健全な社会生活に支障が出ないように、どうすべきかを考えなくてはなりません。

依存症には主に 2種類あります。

 

依存症とはやめたくてもやめられない状態に陥ることですが、その種類は大きく分けて2種類あります。「物質への依存」と「 プロセスへの依存」です。

「物質への依存」について:
アルコールや薬物といった精神に依存する物質を原因とする依存症状のことを指します。
依存性のある物質の摂取を繰り返すことによって、以前と同じ量や回数では満足できなくなり、次第に使う量や回数が増えていき、使い続けなければ気が済まなくなり、自分でもコントロールできなくなってしまいます(一部の物質依存では使う量が増えないこともあります)。
「プロセスへの依存」について:
物質ではなく特定の行為や過程に必要以上に熱中し、のめりこんでしまう症状のことを指します。どちらにも共通していることは、繰り返す、より強い刺激を求める、やめようとしてもやめられない、いつも頭から離れないなどの特徴がだんだんと出てくることです。

厚生労働省ホームページより抜粋

 

ギャンブルやゲーム中毒は、プロセス(行為)の依存症

私はポジポジ病の患者であることを認識していて、解消しようと努力していますが、ポジポジ病は大きな括りではギャンブル依存症に入り、それはプロセス依存症だと思われます。

ギャンブル依存症は日本では社会問題になっていますが、日本人でもっとも多いのは、パチンコスロットです。

世界中見渡しても、市中に賭博場が点在している国なんて日本くらいです。

はっきり言って博打なんてのは、博人に仕切らせてそっちは大目に見て、パチンコ屋は一切禁止の方が、健全な世の中になることでしょう。しかし、利権がそうはさせないのです。パチンコ業界は長らく警察庁の裏金に貢献していますし、政治家ともつながりがあるので、なくなることはないでしょう。

今は、インターネットが発達して、パチンコに取って替わるように、金融商品の取引の方面が増えてきています。FX、株や225先物のトレード、それもデイトレなどはほとんどギャンブルと変わりません。オンラインカジノもそうですし、公営ギャンブルもネットで家に居ながら出来てしまいます。

デジタル依存症もプロセス依存症でしょう。

買い物や、行き過ぎた宗教への傾倒、アイドルの追っかけなどもそうでしょう。

他にはセックス依存症があります。風俗産業を下支えしているのは、依存症患者です。風俗嬢やキャバ嬢やホストが、足しげく通って指名してくれる客を太客なんて言いますが、そういう客は完全な依存症患者です。

これらの依存症はいずれ金銭的に破綻します。

そこで、闇金ウシジマくんの出番です。

借金地獄が待っていて、行きつく先は犯罪者で…。

冒頭の私の知り合いは行くところまで行って、やっと止まったのです。

止まったというか、強制終了であって、やはり定義のように、特定の何かに心を奪われ、「やめたくても、やめられない」状態になってしまっていたのでした。

最初から犯罪者のプロセス依存症もあります。

痴漢、下着ドロボー、窃盗なんかがそうです。

スリルと抗いながら、行為を行っているときや獲物を得たときは、ドーパミンがドバドバと湧き上がっていることでしょう。

本人は止めたいと思っているでしょうね。最初から犯罪で、リスクが高すぎます。

でも、止められない。

では、何故止められないのでしょうか?

 

プロセス依存症は脳の病気

NHK健康チャンネルにゲーム依存症についての記事がありましたので、抜粋します。

私たちの行動は脳の前頭前野と大脳辺縁系によってコントロールされています。前頭前野は主に「理性」をつかさどり、大脳辺縁系は「本能」「感情」をつかさどっています。通常は前頭前野の働きのほうが優勢ですが、ゲーム障害が起きると、前頭前野の働きが悪くなり、大脳辺縁系による「本能」「感情」に支配され、依存状態から抜け出すのが難しくなってしまいます。

ゲーム障害の患者さんの脳では、ゲームを見ると脳に異常な反応が見られます。これは、アルコール依存やギャンブル障害の患者さんでも確認できる同様の異常反応です。脳に異常な反応が起こると、「ゲームをしたい」「遊びたい」などの衝動的な欲求に襲われ、ますます依存状態から抜け出せなくなります。
このような依存状態が続くと、「理性」をつかさどっている前頭前野の機能が低下し、ゲームに対しての欲求がさらにエスカレートしていきます。

アルコール依存症とゲーム障害の脳のMRI画像

 

とくに未成年者では、前頭前野の働きが十分に発達していないため、ゲーム障害が起こりやすく、将来にわたって影響が続く可能性があると考えられています。

脳の障害なのが、分かります。

ですので、意思でどうにかならないのです。

まして、悪さをする部位は本能を司る部分なので、本能が勝ってしまうのです。

そのプロセス(行為)をするように脳が命令をするのです。

操り人形のように、形成された依存症の脳に操られているのです。

患者やその家族はその部分にいち早く気が付くことと、客観的に事実を認識することが大切でしょう。

無知ではいつまでたっても適切な治療は出来ず、いつまでたっても抜け出せません。

意思では止められないのであれば、他の手を打つしかないのです。

依存症というのは、ハマればハマるほどより一層強い刺激を求めて、その間違った脳の回路は強化されてしまうので、離れる為の施策を施さないと病気は進行するばかりです。

この記事からは、大人でもやっかいなので、未発達な子供の脳はいかに影響を受けやすいかというのが想像できます。

昔は、子供に電話がかかってきても固定電話で、家族が電話に最初に出れば凡その交友関係は把握できたでしょうし、会話の内容も把握しようと思えばできました。

スマホの取り扱いをどうするかは、現代における子育てにとって、真剣に考えておかないといけないことなのでしょう。

親の気が付かないところで、簡単に後戻りできる一線をとっくに超えてしまっているかもしれません。

君子危うきに近寄らずと言いますが、脳が影響を受けることはそれに触れていては、防ぎきることは出来ないでしょうから、やはり危うきには近寄らないのがいいのですが…。

依存症患者を製造するデジタルに溢れかえっている世界を生きる

例えばパチンコをしない人に、待ち合わせ場所をパチンコ屋に指定して、1時間くら台の前で待たされたとしたら、怒るでしょう。

煩いし、目に悪いし、空気は悪いし、不快なことしかないのです。

しかし、パチンコ依存症の人は、台の前に座ると落ち着くのです。

ご飯も食べずに何時間も座っていられます。

大当たりの出し方や、音や光の演出、フィーバーや当たりが出そうで出させない演出など、興奮させて、病みつきになせる工夫を凝らして作っているのが、パチンコ台です。

スマホゲームでガチャをさせる為にも同じような工夫がなされています。

ダイレクトに目と耳を通して脳を揺さぶるので、やっかいです。

FXや株や225先物のデイトレードも似たようなことを証券会社は考えていて、無料でトレードツールを提供しています。

発注板にダイレクトに注文ができず、ホームページからの注文のように、手間がかかるとしたら、デイトレーダーは激減することでしょう。

デジタルツールに限らず、デジタル画面を通じて、アナログな映像や言葉を使って訴えかけることもあるでしょう。

孤独を感じたり、心身が弱っていたときにSNSやネットを覗いたら、救ってくれるように思えることに引き寄せられるかもしれません。

しかし、それは依存症患者を作る為の罠だったりすることも多々あります。

私たちは依存症患者を製造する為の罠に簡単に触れてしまう世界を生きています。

時々楽しむ程度で、心身の健康を損なわない程度でしたら、それは否定することではないと思いますが、プロセスの依存症は、放置しておけば、冒頭のように生活に支障をきたしたり犯罪まで引き起こす危険な病気であることは理解しないといけません。

ドキュメンタリーのケースでは、温かい家族と本格的な治療に救われていますが、既に生活に影響を与えている人は、真剣な治療を考えた方がいいと思いますし、そうでない人は知らぬうちにどっぷりハマって抜け出せなくなってしまうリスクに対する備えとコントロールが必要なのだと思います。

 

 

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