ドラッケンミラーとソロスの会話が教えてくれる貴重な学びとは?

ドラッケンミラー 投資のヒント
ドラッケンミラー

ジョージソロスが後継者として迎えたドラッケンミラー

引き続き、早川書房「ソロス」に書いてあることを中心に考察します。

ソロスはドラッケンミラーを引き抜くことを決心し、一生懸命に誘ったそうです。

正式に彼を雇う前から「わが後継者」と呼ぶほどだったとか。

ドラッケンミラーは後日こんなことを話しています。

「ソロスの自宅に面接のために行くと、彼の息子が、私は10人目の「後継者」だと教えてくれた。他の全員は、あまり長く続かなかったとも教えてくれた…。そして、翌日ソロスのオフィスに行くと、スタッフ全員が私を「後継者」と呼んだ。皆、それを面白がっているようだった」

1988年にドラッケンミラーは、ジョージソロスのクォンタムファンドで働き始めましたが、前途多難を示唆されたようなものだったのかもしれません。

実際、ジョージソロスは彼に任せきれずに、口を挟んできたようで、最初の一年くらいはドラッケンミラーもソロスに気を使いながらのトレードで、嫌気もさした様子です。

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しかし、こんなことが書いてあります。

1989年の終わり、ドラッケンミラーにチャンスが訪れた。ドラッケンミラーは嬉し気に、「ジョージは東欧に行っていて、口を挟みたくてもできなかったのだ」と語っている。

ソロスの支配から自由になったことは、ドラッケンミラーにとって絶好の機会となった。

学び1:権力者に邪魔をされるのはよくあること

組織で働いていてドラッケンミラーのような不満を感じたことがある人は結構多いのではないでしょうか。

仕事に対して前向きで、実力もあって、結果も残してきたことのある人は特に経験があるように思います。

権力を持っているけれど、現場のことを正しく分かっていない奴や、各個人の能力を正しく評価出来ない奴に仕事の邪魔をされたり、昇進の邪魔をされることは珍しいことではないということだと改めて気づかせてくれます。

ドラッケンミラーは世界でも超トップクラスの実力の持ち主であって、ソロスも然りです。

自分だけが不遇だとイライラしている人は、安心してください。他にもそんな境遇の人沢山いますので。

肩の力を抜いてもう少し、気楽な感じで頑張ってみましょうか。

継続は力なり。

学び2:風向きは変わるときが来るものだ

東欧でビロード革命が勃発して劇的な状況が展開し始め、ベルリンの壁崩壊も起きました。

それらの動向に気を取られて、ソロスはそれどころじゃない状況になった訳です。

1989年の終わり、ドラッケンミラーにチャンスが訪れた。ドラッケンミラーは嬉し気に、「ジョージは東欧に行っていて、口を挟みたくてもできなかったのだ」と語っている。

そういうことです。

私は身をもって経験していますが、能力のない鬱陶しい奴の権力が失われたり、視界から消えるのは本当に嬉しいものです。

能力がなくても邪魔してさえこなければ、構わないのですが、そういう奴に限ってですよね。

劇的に職場環境が改善されます。

こういうことは、自分に人事権がなくても起こるのです。

そして、それまでに実績を残して、実力を蓄えておけば、腐った蓋がなくなった後、するすると上昇していくことがあるのです。

「見ている人は見ている」って聞いたことありませんか。

その時に大事なのは、自分に実力があるということです。

逆風の中では、まともに評価なんてされないでしょうし、上手くことが運ばないことが多いものです。

でも、その時に出来ることもあります。

くだらないことで消耗せずに、己の力を養うことです。

せっかく追い風が吹いてきたときに、そのチャンスを活かせないのでは面白くないでしょう。

もっとも、逆のケースもあるわけで、風向きが変わって悪い展開になることもあるので、順調な時ほど、次の展開への備えは必要とは思います。

社会経験の浅い若い人には特に伝えたいと思うことです。

継続は力なり。

数少ないインタビューの中でドラッケンミラーは、自分が高い成績をあげられたのは、ジョージソロスのおかげだと言っています。

ソロスの投機哲学に従い、それが上手くいったのだとのことです。

謙虚ですね。

こういう姿勢は、組織で働くサラリーマンも、フリーランスも、いずれ自分を助けてくれる心構えですよね。

学び3:長期的収益を得るためのソロスの投機哲学

ドラッケンミラーによれば、ソロスは長期的な収益を得る為には、「ホームランと資本金を蓄えることが必要」だと考えているとのことです。

「重要なことは、正しいか、間違っているかではない。正しいときにいくら稼ぎ、間違っている時にいくら損をするかだ。ソロスが私を批判した数少ない取引というのは、相場に対する読みが正しかったのにもかかわらず、私がその機会を最大限に利用しなかった時だった」

言っていることは「損小利大」ですが、この発言も続けましょう。

「ソロスは、取引に大きな自信があるときは急所を攻めろと教えてくれた。豚になるには勇気が必要だ。ソロスにとって、自分が正しい時には、儲けすぎということはない」

 

ドラッケンミラーが完全に指導力を発揮し始めた1989年、クォンタムファンドは、31.6%の成長を記録しました。

90年には29.6%、91年には53.4%、92年には68.6%、そして93年には72%も成長しています。

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