ジェシー・リバモアには何故か惹かれるものがありまして、私は彼について書かれている文章を読み漁りました。
マーティンスコセッシ監督、ロバートデニーロ主演で、伝記的な映画を作ってもらいたかったですね。
リバモアの生い立ちや人生については、伝説の相場師 ジェシー・リバモア の生涯 で書きましたが、ここでは彼の名言を厳選して、研究していきたいと思います。
既に国内には リバモア名言 のように引用文を分り易くまとめているサイトがありますが、原文から説明している記事は少ないので兆戦しました。
61+ Jesse Livermore Quotes About Money, Stocks And Success What is your favorite Jesse Livermore quote?はリバモアの名言集のサイトで、61の名言が紹介されています。
そこから私が痛烈な失敗を通して心底納得出来ると思ったことを中心に、任意で22ピックアップしました。
- 原文
- グーグル翻訳による和訳(21/11/2時点の翻訳結果)
- 私による意訳(リバモアが活躍した時代は今から100年前ですし、前後の文脈が省略されていて、例えが何を意味しているか直訳だと分りづらいと思いますので)
- 解説
このような形で記事は構成されています。
ジェシー・リバモアの22の名言と解説
1:チャンスが来るまで待つ
原文:“After spending many years in Wall Street and after making and losing millions of dollars, I want to tell you this: It never was my thinking that made the big money for me. It always was my sitting. Got that? My sitting tight!”
グーグル翻訳:「ウォール街で何年も過ごし、数百万ドルを稼いだり失ったりした後、私はあなたにこれを伝えたいと思います。私にとって大きなお金を稼いだのは私の考えではありませんでした。 それはいつも私の座っていた。 わかった? 私はしっかり座っています!」
サチャン意訳:ウォール街の住人として長年過ごし、巨万の富を作り、そして破産したりした経験をふまえ、私はあなたにこのようにアドバイスしたいと思います。私はよい考えが浮かんできて、それで大儲けしたなんてことはなくって、ただ、私はいつもじっとしていただけなんですよ。分りますか?じっと座って待っていただけなんですよ。絶好のチャンスがやってくるまで。
解説:逆説的にこの秘訣を言うと、ポジポジ病や依存症のトレーダーが財を成すのは無理だってことですね。
2:相場のことは相場に聞け
“There is only one side to the stock market; and it is not the bull side or the bear side, but the right side.”
「株式市場には片側しかありません。 そして、それは雄牛側や熊側ではなく、右側です。」
株式市場にはひとつの側面しかないのですよ。それは、株価が上がる側なのか下がる側なのかではなくて、正しい側なのです。
株価がそう動いているなら、その動きが正しい方向なのでしょう。ファンダやテクニカル的に考えると、おかしいと思っていても事実としてそのように動いているなら、それが正しい動きとして受け入れて、損切りなり、ドテンなりした方がいいのではないでしょうか?
3:早仕掛けはするな
“Do not anticipate and move without market confirmation—being a little late in your trade is your insurance that you are right or wrong.”
「市場の確認なしに予想して移動しないでください。取引が少し遅れることは、あなたが正しいか間違っているかを保証するものです。」
明確なサインや動きが出たのを確認してからポジションを取りましょう。予想して売買すると失敗しますよ。少し遅れて機会損失を作ったとして、それは早仕掛けによる損失を防ぐ為の保険になります。
日本の格言だと「買いは三日待て」が同じことを主張しています。
4:市場を予測することはギャンブル
“To anticipate the market is to gamble. To be patient and react only when the market gives the signal is to speculate.”
「市場を予測することはギャンブルです。 市場がシグナルを発したときにのみ辛抱強く反応することは、推測することです。」
市場を予想するということはギャンブルですよ。市場が(反転なり底打ちなりバンドウォークなり)サインを出すまで待って、そこで動くのが投機です。
これも言わんとしていることは、ポジポジ病、依存症トレーダーは、ただのギャンブルで、財産は築けないということです。ウォーレンバフェットが同じようなことを言っていました。野球に例えて、「打ち頃の球がくるまで待て」と。
5:休むも相場
“There is time to go long, time to go short and time to go fishing.”
「長く行く時間、短く行く時間、そして釣りに行く時間があります」
ロングポジションを取るとき、ショートポジションを取るとき、そして何もしないときがあります。
釣りを例えに出すところあたり、釣りが趣味の私はなんだか嬉しいですね。休むも相場ってことです。
6:感情トレードをしない
“Successful trading is always an emotional battle for the speculator, not an intelligent battle.”
「取引の成功は常に投機家にとって感情的な戦いであり、知的な戦いではありません。」
自分自身の感情をコントロールすることがトレードでは常に大変なことで、知的戦略よりも心理的な影響が大きいのです。
ここでの感情的は認知バイアスと置き換えることができるでしょう。こちらの記事も参考にしてもらえればと思います。
7:群集心理
“Patterns repeat, because human nature hasn’t changed for thousands of years.”
「人間の本性は何千年も変わっていないので、パターンは繰り返されます。」これは意訳しなくていいかなと思います。
株式市場における群集心理的なパターンは今も昔も変わらないと言いたいのですが、感覚的にはアノマリーなんかは通用しないようなことも多々ありますし、100年前は100%人間が参加者でしたが、現代市場はAI等非人間が半数以上の参加者です。そこは注意が必要ではないでしょうか。
こちらの 株の初心者~出直し組におすすめの「硬派」株の本 6 冊で、アルゴリズムトレードの本も紹介しています。
8:どん底で真に理解する
“There is nothing like losing all you have in the world for teaching you what not to do.”
「あなたに何をしてはいけないかを教えるためにあなたが世界に持っているすべてを失うことに勝るものはありません。」
何をしてはいけないかを本当に理解するには、あなたが持っている全てを失うことです。
失敗は成功の母。一財産築いた投機家も大抵は大負けを経験しているものです。特に、投機においては、やってはいけないことをやってしまったから負けたということが多いです。例えば、早仕掛けやナンピンなど。損切りをしなかったことも大負けに繋がる要因ですが、そもそも安易にそのポジションをその価格で保有したのが原因だったりします。
9:動くな
“The market does not beat them. They beat themselves, because though they have brains they cannot sit tight.”
「市場は彼らに勝るものはありません。 彼らは頭脳を持っているのにしっかりと座ることができないので、彼らは自分自身を打ち負かします。」
市場があなた達を打ち負かすのではなくて、あなた達は能力はあるのだけれども、じっとしていられないから自ら進んで負けに行っているのですよ。
ポジポジ病やデイトレ依存症じゃ勝てないってことを再三言っていますね。
10:間違いに気が付いたら直ぐに損切れ
“The only thing to do when a person is wrong is to be right, by ceasing to be wrong. Cut your losses quickly, without hesitation. Don’t waste time.”
「人が間違っているときにする唯一のことは、間違っていることをやめることによって、正しいことです。 ためらうことなく、すぐに損失を削減します。 時間を無駄にしないでください。」
間違いに気がついたら、間違っていることを止める。それが間違っているときに出来る唯一の正しいことです。躊躇うことなく損切りしてください。時間を無駄にしないようにしましょう。
それが難しいのは 岐阜暴威に学ぶ|損切ができないバイアスの怖さ で説明してきました。しかし、それを無意識のうちに実行できる人だけが、短期トレードの世界では生き残れるのでしょうね。BNFとかCISなんかは得意なんでしょう。
11:ポジポジ病
“What beat me was not having enough brain to stick to my own game. There is a Wall Street fool, who thinks he must trade all the time.”
「私を打ち負かしたのは、自分のゲームに固執するのに十分な頭脳がなかったことです。 ウォール街の愚か者がいて、彼はいつも取引しなければならないと思っています。」
私が負けたのは自分のことに集中しなかったからです。株式市場には愚か者がいて、彼はいつでもトレードしなくてはいけないと思っています。
また言っていますね。リバモアが何を強調しているかもうお分かりでしょう。
12:資金管理
“If you can’t sleep at night because of your stock market position, then you have gone too far. If this is the case, then sell your position down to the sleeping level.”
「株式市場での地位が原因で夜眠れない場合は、行き過ぎです。 その場合は、自分のポジションを睡眠レベルまで売ります。」
持ち越した自分のポジションが気になって眠れないのであれば、気にならないで眠れる程度のボリュームまで減らすことです。
このとき 機関による踏み上げで追証発生|東芝粉飾決算祭りでの悲劇 の私がそうでした。フルポジを踏み上げられて、追証出しました。眠れない夜を数えていないで、とっとと損切りなり減らすなりすべきでした。特に初心者は資金管理が出来ないことが多いので気をつけてください。感情的になったときは、ルールだとかすっ飛んで、損切りの代わりにナンピンしたりしますからね。
13:トレンドフォロー
“Big money is made in the stock market by being on the right side of the major moves. I don’t believe in swimming against the tide.”
「主要な動きの右側にいることによって、株式市場で大きなお金が稼がれています。 私は潮に逆らって泳ぐことを信じていません。」
トレンドフォローで大金は稼ぐものです。私は逆張りは信じていません。
市場で大きなトレンドが出ているときは順張りが儲かるのでしょう。コロナ相場を順張りで波に乗っていた人は大儲けしたことでしょう。逆に二番底狙いのショートはことごとく焼かれましたね。
14:強欲、恐れ、無知、希望
“All through time, people have basically acted and re-acted the same way in the market as a result of: greed, fear, ignorance, and hope”
「これまで、人々は基本的に、貪欲、恐れ、無知、希望の結果として、市場で同じように行動し、再行動してきました。」
市場参加者(特に個人)は、昔から今に至るまで、強欲、恐れ、無知、希望によって同じような失敗を繰り返してきました。
私の失敗を指摘しているようですが、リバモアは私だけでなくて、誰もが同じような失敗を今も昔も繰り返していると言っています。経験を積み正しく理解し、感情を切り離して、トレードできるようにならないと、トータルでは勝てないでしょうね。
15:焦りは禁物
“But careful timing is essential… impatience is costly.”
「しかし、慎重なタイミングが不可欠です…焦りはコストがかかります。」
ポジションを取る時は慎重にしましょう。焦ると余計な金がかかりますよ。
焦らず、我慢しましょうと何度も言っていますね。では、私もも一度リンクを貼りましょう。
16:他人のミスから利益を得る
“You will reap benefits from their mistakes.”
「あなたは彼らの過ちから利益を得るでしょう。」意訳不要でしょう。
機関は個人をこうやって養分にしているんですよ。冷静に考えて、養分になる側と反対のポジションを取れれば勝てそうですね。
17:リスク管理
“He will risk half his fortune in the stock market with less reflection than he devotes to the selection of a medium-priced automobile.”
「彼は中価格の自動車の選択に専念するよりも少ない反省で株式市場で彼の財産の半分を危険にさらすでしょう。」
カローラやアクアを買うかどうかは散々慎重になって検討するのに、自分の資産の半分くらいの大金なのに株はあっさり買ってリスクを取ってしまいます。
確かに自分を振り返ってみてもありますね。例えば日経先物ミニなんてミニとかネーミングも意図的なものを感じますが、8枚を3万円でポジっているときは、2400万円動かしていますからね。レバレッジは特に注意が必要です。
18:理由を探し過ぎない
“It is not good to be too curious about all the reasons behind price movements.”
「価格変動の背後にあるすべての理由についてあまり興味を持っているのは良くありません。」意訳不要かなと思います。
考えすぎずに市場が決めた価格についていくことも必要だという教えではないでしょうか。先入観となってブレーキになるときがありますよね。その情報を知ったがために、買えなかったなんてことはよくありますよ。パドックで超良く見えたのに、一馬の弱気な厩舎コメント読んだばかりに躊躇って、超大穴大万馬券を大昔に逃したことを思い出しました。
19:新高値ブレイク
“Go long when stocks reach a new high. Sell short when they reach a new low.”
「株価が新たな高値に達したら、長く行きます。 彼らが新しい安値に達したとき、短く売ってください。」
新高値を付けたら買い、新安値をつけたら空売ります。
リバモアは基本的にトレンドフォローを得意としていたようですね。
20:我慢が大事
“Don’t take action with a trade until the market, itself, confirms your opinion. Being a little late in a trade is insurance that your opinion is correct. In other words, don’t be an impatient trader.”
「市場自体があなたの意見を確認するまで、取引で行動を起こさないでください。 取引が少し遅れることは、あなたの意見が正しいことを保証するものです。 言い換えれば、せっかちなトレーダーにならないでください。」
ほとんど同じことを初めのほうでも取り上げました。私自身この手の失敗が多かったので心に刺さるのでしょう。最近は逆に慎重になりすぎている気もしますが、圧倒的に無駄な負けは減りましたね。
21:損小
“Losing money is the least of my troubles. A loss never troubles me after I take it. I forget it overnight…”
「お金を失うことは私の悩みの中で最も少ないです。 私がそれを取った後、損失は私を悩ませることはありません。 一晩で忘れてしまいました…」
金を失うことで私はあまり悩んだりしません。損切した後、そのことを引きずったりしませんでした。一晩寝たら忘れていましたね。
普通の人にはなかなか出来ません。失くしてもいいようなお金があるほどの金持ちではないし、損失回避バイアスが邪魔するから。でも、それが出来るようにならないと投機の世界では生き残れません。勝てる人は皆損切りが上手だってことですね。
損小利大
22:利大
“As long as a stock is acting right, and the market is right, do not be in a hurry to take profits.”
「株式が正しく機能し、市場が正しい限り、急いで利益を上げないでください。」
自分が考えている方向にトレンドが動いていて、それが転換する理由がないとき、地合いもよく、需給もいい具合ならば、リカクは未だ早いと言っています。
損小利大
リバモアは、我慢して、チャンスをじっと待ち、ポジションを取って利が乗ったら、トレンドフォローの波に乗って大きく利益を伸ばそうとし、逆に思わぬ方向に動いて損失が出たときはアッサリと損切が出来たようですね。
逆にそれが出来なかったこともあったから、破産しているのでしょうが。
裸一貫でスタートし、相場で稼ぎまくって世界一の大金持ちとなり、破産をしどん底へ落ちて、そしてまた不死鳥のごとく蘇った経験のある男の言葉には重みがあります。