孫子の兵法「勝算がなければ戦わない」競争社会で生き抜く鉄則

孫子の兵法 投資のヒント
孫子の兵法

孫子の兵法に学ぶ「戦わない」重要性

ビジネスで、サラリーマンとしての処世術において、そして、投資や投機にも活かせる知恵を孫子の兵法は授けてくれる。

今回は「戦わない」ことの重要性を教えている一節を深堀したいと思う。

孫子の兵法には以下のような一節がある。

戦争のしかたは、つぎの原則に基づく 十倍の兵力なら、包囲し、五倍の兵力ならば、攻撃する。また、二倍の兵力なら、分断し、互角の兵力であれば、勇戦する。

さらに、劣勢の兵力なら、退却せねばならないし、勝算がなければ、戦わぬことだ。

味方の兵力を無視して、強大な敵にしゃにむに戦いを挑めば、あたら敵の餌食になるばかりである。  「孫子の兵法の使い方」 三笠書房 より抜粋

個人が戦争をしかけることはないだろうが、戦いを挑もうと思ったことは多々あることだろう。

女房やカノジョ、いじめっ子や両親、そして、信じられぬ大人との戦い…は、尾崎豊だったか。古いって!?

でも、最もよく戦おうと思ったことがあるのは、社会人であれば、上司だったりするのではなかろうか?

株式投資であれば、大口の売り浴びせに立ち向かうナンピンだったりだろうか?

だが、これはオススメしない。権力に個人が一人で挑んでも負けるから。

孫子の兵法は、戦争に勝つ為(負けない為)の秘訣を教えてくれる

『孫子』(そんし)は、紀元前500年ごろの中国春秋時代の軍事思想家孫武の作とされる兵法書。武経七書の一つ。古今東西の軍事理論書のうち、最も著名なものの一つである。紀元前5世紀中頃から紀元前4世紀中頃あたりに成立したと推定されている。

『孫子』以前は、戦争の勝敗は天運に左右されるという考え方が強かった。孫武は戦争の記録を分析・研究し、勝敗は運ではなく人為によることを知り、勝利を得るための指針を理論化して、本書で後世に残そうとした。

出典: フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)

中国には、今から2500年も前にこのような素晴らしい書物が存在していた訳で、現代における外交力の強さにも表れている。

日本人からしたら、ズルいと思うようなことも多々あろうが、バイアスを抜きに眺めてみると、国益をどうしていくかということに対して、日本の外交力と比べ物にならないほど優秀だ。

個人的には、ウイグル自治区やチベットに対する圧政など許しがたく、即刻方針転換すべきと思うことも多々あるのだが。

日本はと言えば、敗戦国のままアメリカのいいように使われているではないか。いつまでアメリカの犬に成り下がっているつもりでいるのか。いいように利用されているだけだというのに。中国の脅威を演出しているが、実はアメリカ自身が脅威で、思いやり予算だとかナメた名目で、山口組も呆れる上納金を毎年せっせと強請り取られている有様だ。

おっと、政治的なことはこの辺にしておこう。グーグルは嫌うそうで、永遠にこの記事を検索結果に載せてくれないかもしれないのでね。

小敵ノ堅ハ大敵ノ擒ナリ

「孫子の兵法の使い方」 三笠書房 に書かれていることを挙げながら解説していこう。

小敵の堅は大敵の擒なりとは、初めに挙げた引用の中の、「味方の兵力を無視して、強大な敵にしゃにむに戦いを挑めば、あたら敵の餌食になるばかりである」を意味する。

孫子の兵法には、玉砕戦法などなくて、兵力が劣勢であれば逃げるべしと言い切っている。

負けを承知で突撃してしまったのでは、元も子もない。逃げて戦力を整えておけば、いつの日か逆転の勝利を期待できるというわけだ。したかがって、名将と言われた人物は、十人が十人とも、逃げ足が速かったといえる。 「孫子の兵法の使い方」 三笠書房 より抜粋

本では、劉邦の項羽との戦いで逃げ回っている例(自分の子供を馬車から放り出し少しでも軽くして早く逃げられるようにしたエピソードなど)挙げている。また、「逃げ逃げの家康天下を取る」と称された徳川家康や武田信玄、織田信長の逃げの戦術が書かれている。

逃げてきたから名を残せた武将たち

歴史に名を残せている武将は、皆逃げ足が速かったのではないだろうか?

逃げたから生き延びてこられたということで、「逃げるは男の恥」ということで、逃げずに突進していたら、きっと「いい仕事」を出来るステージまでたどり着けなかったのではないかと思う。

戦国時代、「卑怯者」や「臆病者」呼ばわりされるほど武将にとって屈辱的なことはなかったと思われるが、武士は人々に笑われぬためにも、戦場では勇み、潔く、卑怯はせず、戦っていたと思うが、実はそんなのは、命を張って逃げずに仕事をさせるための指揮官の策略で、駒としていいように使われていただけかもしれない。

だって、逃げられては、使えないわけでね。

何も戦国時代でなくって、今の時代だってそうだ。

〇〇ハラスメントに気を使う令和の時代で、外圧は昔よりも大分軽くなったとはいえ、戦う男は自らの中からの圧力にも邪魔される。それは己のプライドだ。

ということで、外からの圧力はないのに、自らが自らの逃げ道をふさいでいることもあろうかと思うのだが、それは撤廃して逃げる術を身に付けないと、長生きできないかもしれない。

ビジネスにおける逃げ(撤退)の重要性

ビジネス(経営)において、もっとも大事なのは存続させることだと思う。

経営者たるもの存続させる義務がある。従業員を雇っているのであれば、彼らの生活もかかっているわけで。

一匹狼のフリーランスだってそうだ。例えば芸能人だって、一芸に秀でていれば生き残れるわけではなくて、枕営業や、権力を持っている人間の取り巻きになったりと、自分自身を生き残らせるためのあれやこれやををテレビ画面に映らないところで努力しているわけだ。

企業の場合、資金がショートしたら存続できない。だから、財務はどんぶり勘定でなくて、きちんと資金管理してハンドリングしなくてはならない。

金を稼いでくるセクションと比較すると地味だが、財務部は組織において重要なのである。ここがしっかりしていないと、順調なときはいいが、ちょっと傾くとそのまま沈没してしまう。

家庭だってそうだろう。財布を預かる人間がちゃらんぽらんだと、継続が難しくなるだろう。

料理人としては一流の職人が、独立したはいいが早々に店をたたむことになるのは、割と多いことだが、大抵はどんぶり勘定による資金ショートだったりする。

資金管理の重要性に気が付かない人が多いが、本当に大事な要素である。

資金ショートしないように、赤字が続くようになったら、その分野からは早々に撤退しないといけない。見直して、リストラしても黒字化しないならば、そこから逃げた方がいいだろう。

設備投資に金をつぎ込んで鳴り物入りで始めたプロジェクトなどは、 サンクコストの呪縛を断ち切れなくて 、より一層撤退が難しいと思うが、逃げ遅れるとその先に待っているのは、良くて買収される。そうでなければ倒産だろう。

大儲けできた成功体験があったりすると、それがアンカリング効果で また踏ん張ればなんとかなると錯覚していしまい、時代が変わり通じなくなっているのに、それに拘って墓穴を掘ることもあるだろう。

ほとんどの企業の倒産はこれだと思われる。

早めに逃げておけば、建て直せたはずだ。

逃げて戦力を整えておけば、いつの日か逆転の勝利を期待できるというわけだ。

サラリーマンにおける逃げ(撤退)の重要性

今一度強調するが、「勝算がなければ戦わない」これは鉄則だ。

若い内はとかく、その「勝算がない」ことが分からなかったりする。

「権力」には勝てない。

先ず、負ける。

戦おうと思っている相手が、無能に見えても。上司であれば、入ったばかりの若造には、ほぼ勝てないだろう。

例え、裁判で勝ったところで、組織内での先は無いわけで、本当の意味で勝ったとは言えまい。

ここが分からなくって失敗する人が多い。振り返ってみると、自分にもそんなことがあった気がする。

仕事をロクにしないくせに口は出してくる、クソBBAの事務員だったとしても、戦わない場合がいいことの方が多いだろう。

陰険な仕返しが待っているかもしれないし、そもそも仕事もしないでそこに長居出来るのは、あなたには見えていないだけで、実は権力を持っているのかもしれない。

例えば役員のオンナだったとか、事実は小説より奇なりということも実際あるわけで。

自分に権力がないのであれば、テキトーに合わせて付き合っていった方がいいだろう。こういうところで我慢できる人は、いずれチャンスを掴めるものだ。

若い人は経験が浅く分からないかもしれないが、必ず風向きは変わるものだ。

バカの言うことは間に受けず、聞き流し、消耗を抑え、実力を磨いておくのがよい。

しかし、自分が戦おうと思う相手の例えばパワハラや無能がスルーできない程酷い場合、その場合は、「撤退」がいいだろう。

その職場から逃げた方がいい。

辞める覚悟があるならば、ダメ元で一戦交えるのもいいだろう。思わぬ勝利が得られるかもしれない。そうであればラッキーだが、そうならなくても、スパッと損切して忘れて、そこを去ればいいだけだ。

何も働く場所は、そこだけじゃあるまい。

うつ病になって、自殺を考えるようになるくらいまで我慢してはいけない。

そういうときに、すべき我慢は、今ある職場を離れたときに、この先どうなるだろうかという不安を打ち払う我慢だろう。

逃げて戦力を整えておけば、いつの日か逆転の勝利を期待できるというわけだ。

株の投資投機における逃げ(撤退)の重要性

逃げとは、言うまでもなく、損切のことだけれども、バイアスが邪魔して中々難しい。

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だけれども、これができないと先はない。

外れることを恐れていたら、永遠にポジションを取れないが、取ったポジションの思惑が外れることのない人は、プロでもいない。

経験を積めばは外れる確率は低いだろうが、ゼロではない。

一流はどうしているかと言えば、逃げているから一流であって、相場で生き残れているのだ。

個人投機家で、生き残っている人間は例外なく損切が上手い。

投機ではなくて投資ということで、時間軸を延ばせば損切をしないで稼ぐことも出来るが、それだって「見送る」という逃げを長時間において実行できているからだ。

勝ち目のない時にエントリーをしない。戦いを挑まない。

やらなければ負けないわけで、資金があればいずれくるチャンスで勝負できるわけで。

逃げて戦力を整えておけば、いつの日か逆転の勝利を期待できるというわけだ。

ところで、もう一度抜粋した一節を書こう。

負けを承知で突撃してしまったのでは、元も子もない。逃げて戦力を整えておけば、いつの日か逆転の勝利を期待できるというわけだ。したかがって、名将と言われた人物は、十人が十人とも、逃げ足が速かったといえる。 「孫子の兵法の使い方」 三笠書房 より抜粋

このことは、生き残る為の本当に鉄則だと思う。

健康な体があれば、やり直しはできるさ。

資金が残っていれば、やり直しはできるさ。

ただ、この大切な教えを実行するうえで気を付けたほうがいいことがある。

それは、赤字で書いた「負けを承知」の部分で、負けを承知していないで、勝てると思って戦っている場合も往々にしてあるということだ。

今、戦いを挑もうと考えているのであれば、こちらの孫子の兵法「敵を知り己を知れば 」をトレードで正しく活用するには? の記事も参考にしてもらえればと思う。

焦らず、冷静に、慎重に。

勝算がなければ戦わないことだ。

いちいち些細なことで傷ついたり、怒ったり、ポジポジ病だったりすると、どうなるかなんて、言うまでもないだろう。

相手のことを変えられなくても、自分を治したり、変えたりは、出来ることのように思うけれどね。

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